ドラクエ・SF好きの小説・ゲーム日記

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ショートショート「復讐」

その蟻はある日突然知能を持った。そして体が大きくなった。
「やった。ついに、蟻人間を作る事に成功したぞ。さあ、何か話してごらん。」
目の前に人間がいる。その蟻はよろこんだ。ついに、人間につぶされた仲間の仇がとれるのだ。
「よくも仲間をつぶしてくれたな。」
そう言うと同時に、目の前の人間を、細い触手で、そして恐るべき力で殴った。目の前の人間はすぐに動かなくなった。何て弱いんだろう。蟻はそう思った。それから、その蟻は、さらに多くの人間へ復讐しに行った。どの人間も、とても弱く、その蟻が一発殴るだけで動かなくなった。このまま、この生き物を殲滅してしまおうか。その蟻はそう思った。ふと、足の裏に違和感を感じた。その蟻は何気なく、足の裏を見た。小さくて黒いものがへばりついている。なんだろう。よく目をこらしてみた。
そこには仲間のむごたらしく潰された姿があった。その蟻は声にならない悲鳴をあげた。それと同時に、どこからか「バァン」という音が聞こえ、その蟻の胸部を鉛の塊が貫いた。